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YAおすすめ今月の1冊【5月】

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『ヒトラー・ユーゲントの若者たち』    S.C.バートレッティ/著 林田 康一/訳  あすなろ書房

「洗脳」といえば、あやしい宗教の布教やお金もうけのために、悪い人が、人をだましてひどいことをしたり・させたりするイメージがあります。だから悪い人やあやしい人に近づかなければ大丈夫と思うかもしれません。しかし政治家が国を丸ごと洗脳したら、だまされずにいるのは難しいことでしょう。
この本は、ドイツの独裁者・ヒトラーに洗脳された若者たちの証言、現地調査や本人からの聞き取りなどで集めた実話です。
第一次世界大戦に敗れて多額の賠償金を取られ、ひどい貧困だったドイツの人びとは、対策もなく不安定な政府に強く不満を感じていました。
ヒトラーは、ドイツ敗北とその後の貧困を国際社会とユダヤ人のせいにする演説で、不満の矛先を求める世論に支持されて権力の座につきます。そして若者の情熱や純粋さを利用しようと、10~18歳の少年少女によるヒトラー・ユーゲント(ヒトラー青年団)を組織しました。
ヒトラーは土木工事などの仕事を国民に与え、経済を立て直して支持を集めます。一方、実戦さながらの軍事訓練で身体を鍛えていたヒトラー・ユーゲントの少年たちは、英雄への崇拝と愛国心に燃えていました。
やがてヒトラーはユダヤ人への迫害を強め、周りの国ぐにを侵略して第二次世界大戦を起こします。少年たちは、ユダヤ人やヒトラー批判をする者を(家族でも!)密告して収容所に送り、兵士として戦いました。第二次大戦はドイツ全土を焼け野原にして終わり、何の罪もないユダヤ人など数百万人の虐殺が明らかになります。少年たちはヒトラーの指示というだけの理由で、この虐殺に手を貸していたのです…。

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