YAおすすめ図書 お知らせ

YAおすすめ今月の1冊【12月】

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『マザーランドの月』    サリー・ガードナー/著 小学館

この物語は今とちがう歴史をたどった「もしも」の1956年を舞台にしています。
マザーランドという独裁国家に支配された管理社会で、文字の読み書きができない「難読症」の少年スタンディッシュは、親友ヘクターの失踪とともに、ある恐ろしい陰謀を知ってしまいました。そんな灰色の世界の中で、他の人と違うものを見つめる主人公の視線が、悲痛ながらもみずみずしく輝きます。
主人公の語る話が今と過去を行ったり来たりして最初はとまどうかもしれませんが、バラバラだった時間は終わりに向かって一つにまとまるので、思いきって読み進めてください。
独裁、思考統制、差別、暴力……息のつまる絶望の連続で、決して明るいお話ではありません。
しかしこれは、本当に歴史の中の「もしも」の話なのでしょうか? かつて起きていたこと、いつか起こりうること、そんな現実感を持って私たちにせまってきます。
そして最後に残るものは痛く、切なくも、どこか解放感にあふれたさわやかさです。
主人公がやろうとしたことは何だったのでしょう。読み終わった時、一度ふりかえって考えてみてください。

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