読書離れとは何か?数字と背景を押さえ、家でも学校でも続く読書習慣をつくろう!

机の上に積まれた本とスマートフォンとペン
カルチャー

「読書離れ」という言葉はよく聞くのに、実際に何が起きているのかは曖昧なまま語られがちです。

本を読む人が減ったのか、読む量が減ったのか、紙から電子へ移っただけなのかで意味が変わります。

そこで本記事では、まず定義を整え、次に調査データを手がかりに現状を捉えます。

最後に、家庭と学校の両方で無理なく続く読書習慣の作り方を整理します。

読書離れとは何か

屋外で本を読む女性の横姿

読書離れは「本に触れる総量が下がる現象」ですが、誰がどの場面で離れているかまで見ないと対策がズレます。

ここでは言葉の定義を確認し、数字と生活実態をつなげて把握します。

読書離れの意味

読書離れとは、紙でも電子でも「本を読む機会や量が減ること」を指すのが一般的です。

単に忙しいのではなく、余暇の選択肢が増えた結果として読書が後回しになっている状態も含みます。

また「読む本の冊数が減る」「読む頻度が落ちる」「読む時間が短くなる」など、複数の現れ方があります。

ゼロ冊が多数派という現実

文化庁の「国語に関する世論調査」では、1か月に読む本が「読まない」と答えた人が62.6%でした。

同じ設問で「1冊以上」は36.9%で、日常的に本を読む人が多数派ではないことが分かります。

この数字は「本を読む習慣がある人が少数派になりやすい社会環境」を示す入口になります。

出典の一次資料は文化庁「国語に関する世論調査(令和5年度)」です。

子どもは学齢で差が開く

子どもは「読まない」一色ではなく、学齢が上がるほど差が広がる形で読書離れが表れます。

全国学校図書館協議会の学校読書調査では、2025年5月の平均読書冊数が小学生12.1冊、中学生3.9冊、高校生1.4冊でした。

同調査の不読者割合は小学生9.6%、中学生24.2%、高校生55.7%で、高校段階で「0冊」が過半になります。

一次資料は全国学校図書館協議会「学校読書調査」です。

活字から離れるとは限らない

読書離れは「活字そのものを読まなくなった」と同義ではありません。

同じ文化庁調査では、本以外の文字情報に触れる機会が「ほぼ毎日ある」と答える人が多く、文章と接点は残っています。

ただし短文中心の接触が増えると、長文を追う筋力が落ちやすい点が論点になります。

市場は縮小だけでは語れない

出版市場は紙が減り、電子が伸びる構図が続いています。

出版科学研究所の発表では、2024年の出版市場(紙+電子)は前年比1.5%減で、紙は減少し電子は増加しています。

読書離れは「本が売れない」だけでなく、「読み方が変わった」側面も同時に含むため、数字の読み分けが必要です。

一次資料は出版科学研究所ニュースリリース(2024年出版市場)です。

読書離れが起きやすい場面

読書離れは、自由時間が細切れになり、まとまった集中が取りにくい生活で起きやすくなります。

特に通学・通勤の移動中や就寝前など、以前は読書に回っていた時間が別の娯楽に置き換わりがちです。

また「読む必要性が見えない」と感じると、最初の1冊が遠くなります。

読書離れを判断する基準

読書離れかどうかは「ゼロ冊か」「読む時間があるか」だけでは決められません。

読む頻度、読む量、読む目的、読後に内容を保持できているかまで含めると実態に近づきます。

自分や家族の状態を測るときは、まず「1か月に何冊か」「週に何回か」から把握するのが現実的です。

読書離れを生む背景

机の上に積まれた白い表紙の本の山

読書離れの原因は一つではなく、時間・環境・心理の層が重なって起きます。

ここでは「なぜ読書が後回しになるのか」を生活の構造として整理します。

可処分時間の争奪

読書は「手を止めて頭を使う」活動なので、疲労がたまるほど優先度が下がります。

さらに短い刺激で満足しやすい選択肢が増え、読書の入り口が相対的に重くなりました。

  • スマホ通知
  • 短尺動画
  • ゲーム
  • SNSのタイムライン
  • 見逃し配信

本に届くまでの摩擦

読みたい気持ちがあっても、手元に本がないと読書は始まりません。

紙は「買う・借りる・運ぶ」、電子は「端末・アプリ・課金」の摩擦があり、どちらも障壁になり得ます。

障壁 入手の手間
起きやすい状況 移動が多い生活
影響 読み始めの先送り
対策の方向 手元の本を常備

読む体力の低下

長文を追う力は、筋トレと同じで使わないと落ちます。

短文中心の情報接触が続くと、ページ数が多い本を前にしたときの抵抗感が増えます。

その抵抗感が「読書は苦手」という自己認識につながり、さらに離れる循環が生まれます。

読む理由の不在

読書は「役に立つ」だけで続くものではありません。

面白さ、没入感、学び、安心感など、自分にとっての報酬が見つからないと習慣化しません。

逆に言えば、読む理由が一つでも見つかると再開は一気に楽になります。

読書離れが広げる影響

本を手に取って読む女性の手元

読書離れは、すぐに生活が破綻する類いの問題ではありません。

ただし長い目で見ると、言葉・学習・仕事の場面で差になって現れやすくなります。

語彙の蓄積

語彙は一気に増えるものではなく、継続的に積み上がる性質があります。

読書量が減ると、知らない言い回しに出会う機会が減り、表現の選択肢が狭まりやすくなります。

減りやすいもの 言い換えの選択肢
困りやすい場面 文章作成
現れ方 語の反復
回復の方向 短文読書から再開

長文への耐性

契約書や説明資料など、社会では長文に向き合う場面が避けられません。

読書離れが進むと、長文を読むだけで疲れ、内容の要点をつかむのに時間がかかりやすくなります。

  • 利用規約
  • 手続き書類
  • 業務マニュアル
  • 長文メール
  • 試験問題の文章

想像力の訓練

物語の読書は、登場人物の視点や状況を想像する練習になります。

読書量が減ると想像力がゼロになるわけではありませんが、深く追体験する時間が減りがちです。

結果として、他者の背景を読み取る場面で「考える癖」が薄くなることがあります。

学習と仕事の土台

学習も仕事も、インプットの質と量が成果に直結します。

読書離れが進むと、知識が断片化し、体系立てて理解する機会が減りやすくなります。

反対に、薄い本でも継続して読む人は、理解の深さで差を作りやすくなります。

読書を戻す家庭の設計

白いスツールに積まれた本の山

読書習慣は根性よりも、環境と仕組みで作るほうが成功率が上がります。

家庭でできる工夫を、今日から動かせる単位に落とし込みます。

読書が起きる場所

読書は「やる気」より「置き場所」で決まります。

本が目に入り、手が伸びる位置にあるだけで、読む確率は上がります。

  • ソファ横のかご
  • 枕元の1冊
  • ダイニングの短編集
  • 通勤バッグの文庫
  • スマホの電子書籍アプリ

本選びの軸

本選びで迷うほど、読書は先延ばしになります。

目的に合わせて「選び方の軸」を固定すると、次の1冊が早く決まります。

目的 気分転換
向く本 短編集
選び方 1話完結
目安 薄めの文庫

最初は短く切る

いきなり毎日30分を目標にすると、挫折が早くなります。

最初の一週間は「1日5分」や「2ページ」など、達成が確実な単位にします。

短くても連続が付くと、読書の抵抗感が下がり、自然に量が増えます。

デジタルとの距離

スマホを完全に敵にすると、現実に負けやすくなります。

通知を減らす、寝る前だけ置き場所を決めるなど、勝てるルールに変えるのが現実的です。

読書時間を確保するより、読書の邪魔を減らすほうが効果が出ることもあります。

学校と地域の役割

机の上の観葉植物と積み重ねられた本

子どもの読書離れは、家庭だけで背負うと苦しくなります。

学校図書館と公共図書館の仕組みを使うと、読書が「当たり前の選択肢」に戻りやすくなります。

学校図書館の仕掛け

学校図書館は、子どもが本と出会う最短ルートになり得ます。

貸出だけでなく、興味を起動する仕掛けがあるほど読書は続きます。

  • テーマ展示
  • 新着本コーナー
  • おすすめカード
  • 読書記録の共有
  • 短時間のブックトーク

公共図書館の使い方

公共図書館は「買わなくても試せる」場で、読書の再開に強い味方です。

予約や電子サービスを組み合わせると、入手の摩擦を減らせます。

機能 予約
メリット 待っても確実に届く
使いどき 人気作
工夫 受取日を固定

電子読書の導入

電子は、荷物が増えず、すきま時間と相性が良いのが強みです。

ただし通知や別アプリへの移動が起きやすいので、端末の使い分けや集中モードが効きます。

紙と電子を対立させず、「続く形」を優先するほうが習慣は戻りやすくなります。

数値を追うときの注意

冊数は分かりやすい指標ですが、冊数だけで良し悪しを決めると読書が義務になります。

大切なのは「続いているか」と「読後に何かが残っているか」で、量は結果として付いてくるものです。

家庭でも学校でも、まずはゼロの日を減らす設計から始めるのが現実的です。

読み続けられる生活へ

膝の上で本を読む女性の手元

読書離れは、気合いで戻すより、生活の中に置き直すほうが成功します。

まずは自分や家族の現状を「1か月ゼロ冊かどうか」「週に何回読むか」で把握します。

次に、手元に本がある状態を作り、最初の目標を小さく切ります。

学校や図書館の仕組みも使い、読書が自然に起きる導線を増やします。

続けるほど読む体力は戻り、読書は「努力」から「安心できる習慣」へ変わっていきます。