『さばの缶づめ、宇宙へいく』 小坂 康之/著 林 公代/著 イースト・プレス
「福井県の若狭高校の皆さんが作ってくれた、『さば缶』 大変美味しいです」
2020年１１月27日。野口聡一宇宙飛行士が、ISS（国際宇宙ステーション）からYouTubeに投稿したこの動画を知っている人もいるかもしれません。
この本は、若狭高校海洋科学科（旧小浜水産高校）が14年の年月をかけて宇宙日本食『さば缶』を作り上げたお話です。
その始まりは、小浜水産高校が食の安全性を高いレベルで管理できる資格を取った際、ある生徒の「宇宙食、作れるんちゃう？」の一言からでした。
豊富な海産物に恵まれた小浜・若狭地方は、その昔京都に海産物を運んでいた鯖（さば）街道があり、小浜水産高校でも代々さば缶が作られてきました。しかし、宇宙食基準となるといくつもの高いハードルを越えなければなりません。厳しい衛生管理はもちろん、精密機械だらけの宇宙ステーションでの食事は汁が飛び散らないことも重要な条件です。
生徒の自主性を重んじながら熱く見守ってくれる教師、応援してくれる地域の人々、JAXA（宇宙航空研究開発機構）関係者の協力も得ながら、生徒たちは日々試行錯誤を繰り返し、自分たちの『さば缶』が宇宙に行くことを夢見て奮闘します！
「鯖街道を宇宙へ」の合言葉で、様々な技術やレシピが先輩から後輩に受け継がれて14年！念願の宇宙日本食『さば缶』を作り上げた高校生たちの熱いチャレンジをぜひ読んでもらいたいです！