『小児を救った種痘学入門 ジェンナーの贈り物』 加藤 四郎/編著 創元社
みなさんは、ジェンナーという人を知っていますか？
病気を予防するワクチンを最初に作り、「ワクチン」という言葉も作った人です。
エドワード・ジェンナー（1749-1823）は、イギリスのバークレイという小さな村で、牧師の末っ子として誕生しました。
自然観察が好きな子で、12歳の時に他の町の医師に弟子入りします。修行中に「牛痘（牛の天然痘）にかかると、天然痘には一生感染しない」という話を聞いたことが、天然痘を予防するワクチンを作るきっかけとなります。
ジェンナーが40歳の時、近くの都市で軽症の天然痘が流行します。ジェンナーは軽症患者のうみを、自分の長男と二人の少女の皮膚にうえ、天然痘が発病しないことを確かめました。この実験ののち、より安全な牛痘でのワクチン接種を行い、天然痘の予防効果があることを確認して、イギリスだけでなく、諸外国にも広めました。
現在では、インフルエンザや水ぼうそう、新型コロナウイルスといった様々な病気に対するワクチンがありますが、これらは全てジェンナーの研究・活動がもとになっているのです。
新型コロナウイルスやインフルエンザが流行する今だからこそ、ワクチンの生みの親と言えるジェンナーについて、みなさんに知ってほしいと思います。