『自閉症のぼくは書くことで息をする 14歳、ナチュラリストの日記』 ダーラ・マカナルティ/著 近藤 隆文/訳 辰巳出版
「自閉症ゆえに読解力もなく文章が書けない」 と教師から言われたという少年、ダーラ・マカナルティさん14歳の文章は、書けないどころかとても豊かな表現力と瑞々しさにあふれています。
この本はダーラさんが北アイルランドで過ごした1年間の記録で、各々の文学賞も受賞しました。
「この日記はぼくの世界の移り変わりを春から冬にかけて、家や自然のなか、ぼくの頭のなかを舞台につづるものだ。」 と始まります。
春の記述では
「スミレが真っ先に芽を出せば、スズメたちが雨どいからコケを掘り出し、空気はコマドリの胸みたいにふくらむ。タンポポとキンポウゲが太陽光線のように現れて、ミツバチたちに送る合図はもう出てきても大丈夫、やっとだね。春は、ひとつひとつの復活を見守ること。」
ダーラさんの目のレンズを通した世界は鮮やかで美しい。
忙しかったり疲れていたりして、「自分の周りの狭い範囲しか見えていないな」 と思ったら、ぜひこの本を読んでみてください。ダーラさんに見えている世界を体感してほしいです。