『十年屋 時の魔法はいかがでしょう?』
廣嶋 玲子/著 佐竹 美保/画 静山社
亡くなったお母さんが作ってくれた大切なぬいぐるみ。
病気がちな友達に作ってあげた雪だるま。
友達から盗んでしまった、おもちゃの指輪・・・
捨てることができないけれど、自分で持っていることもできず、どうしようと思っている人の元に突然現れるのは二つ折りのカードです。カードが導くのは「十年屋」というお店。迎えてくれるのは若いのに古風なところのある魔法使いの男性と、2本足でたつ猫の執事です。
名前のとおり、十年間そのままの状態で品物を預かってくれるのですが、もちろんただとはいきません。自分の寿命を1年あげなければいけないのです。
でも、品物は十年間の内ならいつでも願えば取り戻せます。忘れてしまっても、十年後にお知らせしてくれます。ただし、1度預けてしまったら、明日やっぱり取り戻したいと思っても、寿命1年分は戻ってはきません。
大事な人のために。
自分のことしか考えていない人。
謝りたくても謝れない人・・・
各物語の主人公たちは、様々な思いを胸に、十年屋に品物を預けます。
ファンタジーではありますが、本当の話なんでは?と、思ってしまうような1冊です。
みなさんは、大切にしている思い出の品物はありますか?
机の中やお菓子の缶の中など、開けてみてはいかがでしょう?素敵な思い出がよみがえるかもしれませんよ。