『朔と新 』 いとう みく/著 講談社
兄の「朔(さく)」と弟の「新(あき)」は、一昨年の大晦日、正月を父親の故郷で迎えるため高速バスに乗りました。そのバスが事故を起こし、朔は視力を失いました。大晦日にバスに乗ることになったのは、新と母親が衝突したから。事故当時、朔は高校二年生で、新は中学二年生でした。事故後、朔は盲学校へ行き、新は自らを責め、力を入れていた陸上をやめました。
朔が一年ぶりに盲学校の寄宿舎から帰ってきて、また家族と暮らすようになりましたが、以前と同じにはなりません。ある日、朔は、新が陸上をやめたことを知ります。朔は、ブラインドマラソンを始めることを決め、伴走者を新にやってほしいと話します。新は最初、無理と断りましたが、朔に説得され、「新にしか頼めない」という言葉で、伴走者を引き受けました。
ブラインドマラソンとは、視覚障がい者のマラソンです。この競技はランナーと伴走者が一緒にロープを握って走ります。視覚障がい者の目となるのが伴走者です。
ブラインドマラソンをすることで朔と新の気持ちも変化していきます。読んだ後は、前向きな気持ちになれる1冊です。