『旅が好きだ! 21人が見つけた新たな世界への扉 』 河出書房新社/編 角田 光代/ほか 河出書房新社
河出書房「14歳の世渡り術」シリーズから旅についての21人分のエッセイが読める本書。
執筆陣は「ガンジス河でバタフライ」(!)、「難民キャンプで難民からごちそうになる」(!)から、協賛企業を集めてしまったり、プロトラベラーを名乗ったりするなど、強者ぞろいで、この人たちがまた面白いのです。ここではその一部、図書館らしく作家角田光代さんの部分をご紹介します。
本を読むことと旅をすることは似ている。本を読むと自分が見ている現実以外に、いくつもの現実があることを知り、その「今ここ」以外を自在にいききできることを学ぶ。
旅は、それを物理的に行うこと。旅は「今ここ」から逃げ出すこと、気分転換にもなるけれども「今ここ」の日常をも、よりはっきり見せてくれる。自らの国籍や性別、差別。正義、倫理、価値観。外に出ることではじめて知り、考え、想像力を豊かにすることができると言います。
今はまだパンデミックの影響で旅行が難しい時期が続きますが(世界各国の対応も比べてみると興味深いです)、そんなときに気持ちを緩めてくれるコミックエッセイの妙手、益田ミリさんのセリフをご紹介して結びとします。
「実は旅というものは旅をしていない時に、旅するためのもの」