『みつきの雪』 眞島 めいり/作 牧野 千穂/絵 講談社
信州の山村留学(都市部の子どもが違う土地へ行き、その土地で生活しながら学校へ通うこと)を行っている村に住む満希(みつき)は、その村でたった一人の5年生でした。何度か山村留学で来た同級生はできましたが、みんな2年程で元の地へ戻ってしまいます。あることがきっかけで、同級生ができても深入りはしないと決めていた満希ですが、5年生の冬にやってきた行人(ゆきと)は、ずっとこの土地にいると言いました。
卒業式前日からはじまるこの物語。行人と出会った時からちょっとずつ時代を交錯しながらエピソードが進みます。特に印象的なのは、裏表紙にある赤い手袋のお話です。
「わっ!!」というような大きな事件は起こりませんが、満希の気持ちが丁寧に書かれていて、行ったことはないのに、その村の景色を感じることができます。一日一日を大切に過ごしたいなと思える1冊です。