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YAおすすめ今月の1冊【10月】

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『ぼくたちは幽霊じゃない』    ファブリツィオ ガッティ/著 関口 英子/訳 岩波書店

主人公のヴィキはバルカン半島にあるアルバニアという国に生まれた少年です。
アルバニアでは政情が不安定で仕事もなく、ヴィキのお父さんは対岸の国イタリアへ渡り働いていました。ヴィキが7歳の時、お母さんと妹と3人で密入国の手助けをするボートにのり、命がけでイタリアに渡ります。
そして、やっとのことでお父さんに会えるのですが、住まいは泥地の中にあるバラックでした。その家には電気もなければ水もなく、家の中には巨大ねずみが常に現れます。
人間らしい暮らしをもとめて命がけでイタリアまでやってきたのに、思い描いていた暮らしとはかけ離れた生活でした。しかも、ヴィキの家族は不法滞在者にあたるので、常に警官の眼を気にしながら生活をしなければなりません。不審者として取り調べを受ければまたアルバニアに強制送還されてしまいます。幽霊のように人目につかないように生きていかなければならないのです。
そんな日々の中、ヴィキには楽しみにしていることがありました。イタリアの学校はすべての人に開かれるという理念があり、滞在許可証のないヴィキも学校に行くことができたのです。
最初はイタリア語が分からず途方に暮れたヴィキですが、次第に言葉にも慣れ、自分の置かれた状況を忘れさせてくれる学校が大好きになりました。
ところが、イタリアの生活に慣れて学校で友達もできたころ、お父さんが警察に捕まってしまいます。そして、働いたお金まで悪い警察官に盗られてしまうのです。ヴィキの生活はより過酷なものになってしまうのでしょうか。

この物語はイタリアの新聞に掲載された少年ヴィキの実際の体験談がもとになっています。
日本で暮らす私たちは、難民のニュースを毎日耳にしても、実際の困難を想像することすら簡単ではありません。同じ人間としてこんな過酷な状況で生きていかなければならない人たちがいることを、この本を読んで知っていただけたらと思います。

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