『リスタート』 ゴードン・コーマン /著 千葉 茂樹/訳 あすなろ書房
13歳のチェースは夏休みに自宅の屋根から落ちて記憶を失います。家族の顔も、友達のことも、自分がどんな人間だったのかも。たった一つ覚えているのは青いドレスを着た小さな女の子の姿だけでした。家族によるとアメフトのスター選手だったらしいのですが・・・。
不安な気持ちで学校へ行くと、アメフト仲間からは奇跡の生還を喜ばれる一方、周りの目の多くはなんだか不穏。敵対視されたりビクビク逃げられたりと、どうやら嫌われ者だったようですが、原因がわかりません。
しかしやがて自分はひどいいじめの首謀者で、たくさんの人を傷つけていたということがわかっていきます。記憶を失ったチェースは過去の自分を嫌悪し、またつるんでいた友人たちの行いを不愉快に感じるほど良い子になります。怪我でアメフトができないため暇になり、ひょんなことからビデオクラブに入会することになったチェースでしたが、そこには以前いじめていた同級生たちがいました。最初は反発されながらも徐々に「新しいチェース」が受け入れられ、充実した毎日を送ることに。
ところがそんな彼を許せない悪友たちがある事件を起こします。そしてたった一つ覚えていた記憶にはある秘密が隠されていて…
読みながら生まれ変わったチェースをどんどん好きになり、応援したくなりますよ。失敗は消せなくても、人生はいつだってやり直せる！と勇気をもらえる１冊です。