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YAおすすめ今月の1冊【2月】

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『いのちは贈りもの ホロコーストを生きのびて』    フランシーヌ・クリストフ/著  河野 万里子/訳 岩崎書店

この本はタイトルでも分かるように、第二次世界大戦のホロコーストを生きのびた少女フランシーヌの手記です。本の初めに著者のフランシーヌは書いています。これは物語ではなく写真を並べたアルバムのようなものだと。

フランシーヌが6歳の時戦争が始まりました。彼女が住んでいたパリはドイツ軍に占領され、たくさんの人が南フランスに脱出しました。フランシーヌが7歳の時、フランスはドイツに降伏し、軍人だったお父さんはドイツ軍の捕虜になったのです。
そのころから、ドイツ軍によるユダヤ人の大量検挙が始まりました。ユダヤ人だというだけで強制収容所に連れていかれてしまうのです。ユダヤ人のフランシーヌは、9歳の時お母さんと一緒に最初の強制収容所に入れられました。この本では、フランシーヌが6歳の時からの記憶をたよりに、実際に自分に起きたことを、その後いくつかの収容所で見たことを淡々と日記のように書いています。
収容所では目を覆いたくなるような光景や、人として扱われない出来事が毎日毎日繰り返されるのです。つらすぎる空腹、不衛生な環境で悪化する皮膚炎、蔓延する伝染病。突然そんな境遇に置かれたら、大人でさえなすすべがなく、ましてこどもにとってはどうすることもできないのです。子どもの目線で語られるそれらのことは恐ろしくリアルで胸が苦しくなります。

沢山の人が失意と絶望の中で死んでしまう中、ドイツが無条件降伏した年、12歳になったフランシーヌとお母さんはなんとか命をつなぐことができました。解放されたお父さんとも再会することができるのですが、お母さんは長い収容所生活で精神を病んでしまいます。
戦争が終わり、またもとのフランスでの生活が始まっても、フランシーヌには収容所での記憶から解放されることはありませんでした。平和が戻ってもずっと苦しむ日々だったのです。
戦争や差別はかけがえのない一度きりの人生を、どれほど傷つけ損ってしまうかを考えさせられます。

62歳になった著者はすべての体験を次の世代に伝えるため、やっと戦争中の証言を始め
この本ができました。アメリカやドイツでは訳され広く読まれています。
日本でもやっと刊行されたので、日本のYA世代にも読んでほしいと思いました。
そして平和の尊さを感じてほしいと願わずにはいられません。

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